東洋医学と感染症

長い自粛生活も終わり、少しずついつもの日常が戻ってきました。

今回のようなワクチンも特効薬もない病は、昔から何度も流行しています。
有名なのはスペイン風邪です。中国後漢の時代に、張仲景という官僚で医師によって著された「傷寒論」という書物の“傷寒”とはスペイン風邪のことを指しているとされ、
この本には流行り病に対する漢方薬治療などが書かれています。
風邪治療に有名な葛根湯、麻黄湯、桂枝湯などはこの傷寒論に書かれている処方です。
抗生物質も抗ウィルス薬もない時代に、生薬を用いて治療していた先人たちの経験や知恵には驚かされます。鍼灸治療でも、流感(インフルエンザの別名)の治療には大椎へのお灸が
よく効くことが知られています。また風邪も症状に合わせて様々な経穴を使って治療し、
副作用なく治癒を促進することができます。

漢方薬や鍼灸の治療に共通するのは、ウィルスや細菌を物理的に排除するのではなく、
私たちの体の自然治癒力を存分に発揮させることでその病態を治そうとする考え方です。

何千年の間に科学は進歩しましたが、私たちの体の仕組みはずっと同じです。
私たちの体には本来、素晴らしい自己治癒力が備わっています。
太古の昔から、様々な細菌やウィルスが存在する中を、私たちの祖先は生き延びてきました。体を整えて自己治癒力を発揮できる状態にしておくことが一番大切です。その手段が養生法と言われるものです。漢方薬や鍼灸は病の治療だけでなく、日々の養生にも効果があります。ぜひ健やかな毎日のために、東洋医学の知恵を役立てていただきたいと思っています。

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